GWの出展の際、お孫様の七五三の髪飾りをご購入いただいたお客様から、出品していた着物生地のバッグを見て、帯生地バッグの製作依頼です。
オーダーは、つまみ細工しか受け付けていないのでお断りをしていましたが、お母様の形見の帯で箪笥に仕舞いっぱなしもしのびなく、バッグにしてもらえたらとのお話を聞き、製作時間を頂けるのならということで受け付けました。
だいぶ使い込んだ古い帯でしたので、まずは吊るしてシワ・癖・湿気を取る為、1ヶ月ほどかけて虫干し。
それでもシワが取れないので、金糸・銀糸を傷めないよう数回に分けて低温でアイロンがけ。
たたみシワ、胴に巻く部分の折りシワはどうしようもないのでその部分は使わず、綺麗になった部分で仕立てました。
古い帯でかなり使い込んでいる帯でしたのでシミが多々ありましたが、それも思い出と承知していただきました。
生地が弱いところがあるところは接着芯で補強したり、帯の地直しをしながらバッグのデザインを考査。
柄をフルに生かしたいので、帯巾30cmからのサイズ。
手提げ部分を木や竹にすると、どうしても取り付け部分で柄が隠れるので却下。
ガマ口バッグも、口金部分でダーツが入ったり、Rがあるので柄が生かしきれず却下。
全て帯生地で作るとなると、まち部分でバッグとしては小さくなり柄も切れてしまうので却下。
う~~~ん。。。
帯柄を最大限に生かせて、容量もあり、使い勝手がいいものということでトートバックに決定。やはり Simple is Best ですね~
今度はどのようなトートバックにするかデザインを思案。
まち部分のサイドは、効かせ色で朱色や紺、辛子色を考えてみましたが、色に目がいってしまい帯柄が生かせないと判断。
帯柄を殺さず、色合いも合う生地を探し絣調のベージュ(綿)を選択。
まち巾は中で物が動かないサイズで、ペットボトルを入れても安定する10cmに決定。
御所車の柄が2種類あるので、どちらを表に持ってもそれぞれ柄が楽しめるようにしました。
自立できるよう、芯地はハードタイプを使用。
物が入れやすいように、しっかりめのトートバックにしました。
御所車が右の柄
御所車が左の柄
手提げは、胴に巻く部分の帯裏生地で、サイドと中生地に使用した和調のベージュ(綿)を使用。帯裏生地が真っ白なので、ワンポイントとなる手提げにしました。
内ポケットは、胴に巻く部分の帯の裏生地。
どちらもスマホが入るサイズで2分割。
高級な帯バッグなので、黒い底板ではガッカリですよね。
底板も同じ和調のベージュ(綿)でくるみました。
トートバッグはポンポン物が入れられるのが便利ですが、深さのあるバッグでも中身が見えるのはイマイチです。
多くの方は目隠しに、大判のハンカチやタオル、スカーフなどをかぶせたりしていますが、邪魔になることがあります。
バッグの上縁にマグネットを付けるタイプもありますが、上の部分が重なるのでバッグが平べったくなって入る容量も少なくなるんですよね。
平べったさを解消するのにマグネットにまちを付けると、それがぴょこぴょこ邪魔になって出し入れしにくくなる。。。
物の入れ方によってはマグネットがくっつかなくなることもあって、意味ないじゃん~な状態に(苦笑)
上部ファスナーは完全に目隠しできるけど、マグネットと同じように上の部分のバッグが平べったく容量も少なくなるし、まちを付けてファスナーにしてもファスナーのお尻部分が固定されるのでガバッと開かず出し入れが意外と良くない。
お尻部分が固定されないファスナーを使えば、閉じたいときにファスナーをかち込まなければ閉じられないので面倒。
結局、ファスナーを閉じないで使用することが多くなります。
個人的に帯生地のバッグにファスナーはエレガンスさが損なわれる気がするんですよね。
ということで、シンプルにフラップのみに決定。
煩わしさが無いよう内壁に添うフラップになるよう縫い付たので邪魔にならず、出し入れしやすくしました。物を入れた後にフラップを起こせば目隠しできる仕様です。
フラップ通常スタイル ↑ フラップで目隠しスタイル ↓
完成サイズ
28cm✕28cm✕10cm
バッグの完成後、ハギレが勿体ないので通帳入れを作りました。
バッグと一緒に使えば、お揃いコーデでお洒落ですね。
開くと、全面に御所車の柄があるので豪華です。
ポケットは3室。
サイズによっては薬手帳も入るかと思います。
チケットやクーポン、カードや葉書など入れても良いですね。
おめでたい招き猫の柄でバンドを作って、お茶目なアクセントにしました。
この豪華さは、さすが帯生地ですね。
バッグと小物の通帳入れでオーダー品は完了です。
お母様の形見ということなので、何か作れないかな~と、ハギレの中で一番いい状態の部分で「額」を作ってサプライズプレゼント。
御所車の柄が素敵で、額に入れたら美術品ですね~~~
バッグと通帳入れは使っていつも身近に、額は飾ってお母様を偲べると喜んでいただきました。
無事にミッションコンプリート。
ホッとしました~~~
この度はオーダーをありがとうございました。